なかざわ　りえ

下校のときになって
どしゃぶりの　雨になった

　―かさ　もっていきなさいよ
朝　かあさんがいったのに
いうことをきかなかったからかな

しょんぼりと昇降口にきてみると
おなじ団地のイクミがいた
手にシートの切れはしをもっている
　―これかぶって　かえろ

ぼくがまえ　イクミがうしろ
みんなの傘のあいだを
「どいて　どいて」
とわりこんだり
ぶつかったりしながら
かけてかえった

また　雨ふると　いいな

（おわり）